これが、かつて日本の新聞に連載されたときに「銀行強盗」という
いきなりタイトルでネタ割れしている珍訳をたたきだした作品か。
ここではホームズがとても音楽を愛していることが書かれていて
ホームズがいつものようにワトスン君を音楽会に誘う。
「ドイツ音楽は内観的だ。僕は今じっと内観したいのだ。さあ、ゆこう」
そして音楽を聞いている彼はこんなふうに描写される。
「彼は一番前の席に座って最大の幸福にひたり、音楽の調べに合わせて穏やかに長い細い指を動かしていたが、そのしずかな微笑や夢みごこちのものうげな目は、百錬の警察犬、仮借なき鋭利俊敏の探偵としてのホームズにはふさわしからぬものであった」
最後にホームズはワトスンにこう言う
「ギュスターヴ・フロベールがジョルジュ・サンドに書送ったことばがあるーーー『人間はむなしく、芸術こそがすべてだ』」
